【青森】経済的理由で受診遅延、6人死亡 「氷山の一角」か

青森

「氷山の一角」か

経済的理由で受診遅延、6人死亡

◇民医連の調査 

6人は50〜80代の男女

 

青森県内で昨年、国民健康保険料(税)が払えずに正規の保険証がなくなるなどし、経済的な理由で受診が遅れて死亡した人が少なくとも6人いたことが、全日本民主医療機関連合会(民医連)の調査で分かった。

青森県民医連(青森市)は「氷山の一角」として、行政などによる積極的な支援を求めている。

 

調査は、民医連に加盟する全国639の医療機関が対象。

保険料を滞納したことで「無保険」状態になるなどし、病院に行かずに病状が悪化し死亡した事例と、保険証を持っていながら経済的な理由で受診が遅れて死亡した事例を調べた。

県民医連によると、6人は50〜80代の男女。

このうち高齢の母親と精神疾患を持つ姉の3人暮らしだった50代男性は、自身も身体障害者手帳3級を所持し、難聴だった。

障害者向けの就労支援事業所の工賃や、姉の障害年金などでやりくりしていたが、収入は足りず、数百万円の借金があった。

2013年に大腸がんが発覚したが、治療費を払えず、自ら治療を中断。

病状が悪化して再度通院しようとしたが、治療費の未納があったことなどを理由に病院側から診療を断られた。

その後、役所に紹介された民医連に加盟する医療機関を訪れ、「無料低額診療」を利用したものの、病状が改善せずに約1カ月後に死亡した。

県民医連によると、全国では63事例が確認され、青森県は東京都の7人に次いで2番目の多さ。

ほとんどが保険料などの滞納で正規の保険証がなかった。

50代男性の場合、生活保護の相談に何度か役所を訪れたが、受給にはつながらなかったという。

生活保護への抵抗感から自ら受給を拒むケースもあった。

貧困状態にある世帯は社会との接点がなく、自ら助けを求められない人が多い。

県民医連の那須稔事務局長は

「貧困の実態が見えなくなっている。行政は相談を待つのではなく、医療機関と連携しながら積極的に支援していく姿勢を持つべきだ」

と訴えている。