さてそれは前科?前歴?

友達が観光でオーストラリアに行くことになったんだけど、急に神妙なことを相談された。

ねぇ旅行にイータスっていうビザが必要なんだけど、私が万引きしたのって前科とか前歴になる?前科があると取れないんだけど

それは、彼女が中学卒業直後、高校入学直前の春休みの話である。

彼女は、別の友人と万引きをしたのだった。

万引きと言っても、田舎のスーパーに毛が生えたような店だけど、そこで文房具を盗んだ。

彼女は、ハッキリ言って万引きをするようなタイプではない。

大真面目なタイプである。

しかし、友達の影響力とは恐ろしい。

きっと一緒にいた友達に誘われ、断り切れずに、一緒に盗んだのだのだと察する。

万引きはお店にバレ、通報されて、親と警察がやってきた。

友人は後悔で泣きながら、指紋を取られ、書類に必要事項を書き、あとは商品代金を払ってその場で物事は終わったが、

彼女は春休み中は外出禁止と親に戒厳令を出され、家にいた。

さて、これが前科や前歴に当たりますか?

と質問されたのは、おそらく私が法学部からの法律職に就き、海外渡航慣れもしているからであろう。

が、私は当時の状況を今ここに書いたほど知らなかった。

彼女が万引きをした当時は、

万引きしてばれてつかまった

的なざっくりのニュアンスで聞いていたので、

逮捕されたのか、その後の処分はどうなったのかなど全く無知だったのだ。

で、今回電話してきたときに

逮捕ってか補導されたの?なんの書類かいたの?

と聞くと

テンパってて覚えてない。ただ指紋取られた。その書類は一生残るはず

とオーストラリアに行けないのではないか?と完全にビビりあがっている様子だった。

補導されたのか、非行歴はあるのか、これでは情報が少なすぎる。

しかし、私の法学部人生で考えたことのないことに、私もぶち当たった。

そもそも、何をされたら逮捕?

というこことで、同じく中大法学部を卒業した刑事の同級生女に聞いてみた。

が、彼女は立て続けに2児を身ごもり、育休5年中で公務員は手厚い、

ごめん、ケーサツに聞いて

と警察から言われる始末であった。。。。

そんなこんなでネサフや彼女の状況を詳しく知るにつけ、

被害届からの示談ってことで、終わったんだな、と結論付けた。

逮捕もされておらず、起訴不起訴もなく、裁判もない。

さて、そう言えばだが、私のハチャメチャな人生のなかに、なぜか私は警察のお世話になることがなかった。

あれだけおぞましいことをやっていれば、1回や2回、逮捕されてもおかしくなかったくらいクレイジーだったが、そこはどうにか真面目にやってきたようである。

変な話だが、私は法学部生という妙なプライドがあった今はないけどな。

だから、マックス病んでいたときにも、

法だけは犯すべからず

と自制心が働いており、そこらへんの露店にあった合法ドラッグ屋に行っても、話は聞いても絶対に買わないということをやっていた。

今回の件、前科や前歴があると、例え若かりし頃の過ちとはいえ、あとあとこういう面倒くさいことにぶちあたるんだな

といい勉強になった。

人間の制度とは、こういう一括管理なので、なかなか現在の個性までは見てくれない。

やってきたことが人生なのだ。

彼女が今、コツコツと同じ会社で働き続ける大真面目なOLであることなど、おかまいない。

人生はみんなカラフル。

若いときも、歳をとっても、どんな人でも、まったくドラマチックにできてる。

おもしろいじゃないか。不便でもな。