沖縄知事選 - チャオプラヤ河岸の25時

 沖縄知事選挙が台風の最中に行われている。今日、深夜には結果が判明していることだろう。激戦と伝えられているが、共産、立憲、自由などが推す玉城デ二―がややリードしているようだ。

 玉城は権力欲の権化と化した小沢一郎の子飼いであり、従ってどのような哲学も持ち合わせていないのは当然としても、出馬表明時の発言を聞けば正常なのかすらが疑われる水準だった。曰く、沖縄に米軍や自衛隊を置くのは中国や半島に対して失礼になる、沖縄は一国二制度で本土と区別された税制などで発展させる、などなどだ。

 小沢は民主党政権時には習近平宮内庁のルールを無視して皇居に招く、民主党議員の大半を胡錦涛との面会の為に訪中させる、などの極端な媚中派行動で知られる。過去は自民党の幹部でありながら、スポイルされるや共産党と手を取って歩く神経、戦後の自我喪失を体現した気色の悪い権力亡者の姿だ。その薫陶を受けた玉城もひたすら中国に甘く、まさかの一国二制度発言となった。香港やマカオの位置が沖縄であり、宗主国は日本でも中国でも大差はないという意味なのだろう。日本の政治家と云えない水準だ。

 だが、こんな政治家が沖縄では知事になれる、ということなら政治的民度としては危機的な水準にあるということになる。今、世界は一帯一路の本質が中国の植民地主義であることを見抜き背を向け始めた。だが未だに日本の政治家や沖縄の中には心に龍柱を建て、怪しいAIIBや一帯一路に乗り遅れるな論、を叫ぶ者が多く存在する。中国のマスコミを対象にした浸透工作の成果、軽視はできない。

 玉城の、中国に失礼になるから米軍基地は不要という楽園主義。馬鹿なのではなく、工作員なのでもない。小沢と中国の関係は極端に怪しいが、小粒な玉城には中国も見向きもしないはず。この現実離れした楽園主義は日本の思想史の空白期、敗戦国の御都合主義の甘えに浸った、云わば朝日新聞的大衆思想の姿を端的に表現している。玉城とは大衆そのものであり、政治家の水準でも思想家の水準でもない。その異常な発言の意味に自身では気が付くことすらもない。

 沖縄のローカル新聞は主要2紙、朝日をも上回る極端な左偏向で有名であり、内容は新左翼諸党派の機関紙と区別がつかない。全国紙はそれぞれ数百のレベルでしか読者がなく、ほとんど沖縄での影響力はない。つまり、中国化や半島化に大きな抵抗がない状況であり、敵対的な周辺国が求める大衆思想は既に完成段階にある。沖縄の制度的分離案は独立論に近似し、無分別な反米気分は人民解放軍を招き入れることになる、それは正に中国の沖縄戦略そのもの、と云うことになる。沖縄の現在が招く未来図、それは琉球復権ではなく、中国に飲み込まれたチベットに近似する。

 玉城デ二―が知事になるのであれば、特段の予算配分を繰り返してきた「戦後」も清算すべきだ。また、一国二制度を実現すべし、それが共産、立民の政策ならば、今後あらゆる国政選挙でそう主張すればよい。

 戦後という曖昧なだけの甘えの時代、それは強大な植民主義者中国の台頭によって終焉を迎える。尖閣は沖縄簒奪の序章、そのように中国自身が発言している。翁長、玉城と続けば沖縄は戻れない橋を渡ることになる。日本は、引き換えに思想史的空白期の精算を求められることになることだろう。日本のアイデンティティ喪失の時代が、同時に終わることになる。きっと、それは良いことだ。

                                     

                                        川口